なかなか治らない足底痛とメンタルの関係
ネガティブ感情は自分の体を傷つけてしまう
脳科学の世界でネガティブな感情は自分の体を傷つけてしまうことは明らかになっています。ネガティブな感情とは「いつまで痛いんだろう」「もう治らないのかな?」などといった不安な感情や治らないという恐れの感情から、長引く痛みでイライラしたり、奴当たりをしたりと怒りの感情などです。これらのネガティブな感情は脳の中の偏桃体(へんとうたい)という部分をよく使うことになります。ネガティブな感情をずっと持ち続けていると偏桃体から特殊な神経伝達物質を作ることになり、この神経伝達物質が体に様々な悪影響を及ぼすと言われています。遺伝子にも傷をつけるほど鋭い神経伝達物質と言われておりあらゆる疾患を引き起こすことになります。私の患者さんで足底痛によるストレスではない方が周期的にストレスがかかることがありました。治療をしてだいぶ痛みは和らいでいたのですが、周期的なストレスがかかると再び足底に痛みを訴えていました。ストレスがかかると偏桃体から特殊な神経伝達物質がでて弱っている足底に影響を及ぼしていた可能性があります。
「いつになったら走れるだろうか?」「走れない間にタイムが落ちてしまう」「ライバルにおいていかれる」「一生この痛みと付き合うのだろうか」というような足底痛に直接関係するネガティブ感情からまったく足底痛とは関係ないネガティブな感情、夫婦関係、会社での上司、同僚との人間関係、学校での友人関係、仕事のストレスなどなど様々なネガティブ感情が痛みと関係します。
長期ストレスは痛みを敏感にしてしまう
人間の体にとって「痛み」とは危険信号です。「この組織が壊れていますよ~」「この内臓疲れていますよ~」ということを痛みとして教えてくれます。しかし、痛み自体が人間にとってストレスになるため、例えば人間は10ある痛みを5くらいに感じるよう脳内から痛みを軽く感じさせる内因性オピオイドという物質を放出します。内因性オピオイドが放出されている時は10ある痛みが5に感じるということになります。しかし、長期的にストレスを感じていると内因性オピオイドの放出が徐々に減ってきて痛みに敏感になってしまいます。10ある痛みが10痛いと感じるようになってしまいます。
仮に10から5に痛みがなっても内因性オピオイドが出ていない場合10あったときと同じ痛みを感じてしまいます。
長い間足底筋膜炎(足底腱膜炎)を患っている方は痛みのストレスがあることから内因性オピオイドの放出が少なくなっている可能性があります。そのため痛みに敏感になっている可能性も十分にあります。
このようにメンタルが足底痛に及ぼす影響は様々あります。ではどうすれば良いのか?ネガティブに考えなくするにはどうするか?残念ながら人間はネガティブな感情は必ず湧いてきます。しかし、ネガティブな感情を長く持ち続けないことが重要です。ネガティブな感情がでてきてもすぐに切り替えることで、偏桃体から体を傷つけてしまう神経伝達物質の放出は抑制できますし、内因性オピオイドの放出も抑制せずにすみます。
「あー痛いな~」って思ったら「いかんいかん。この感情がさらに自分を傷つけてしまうんだ。痛みについて考えるのやーめた。むしろ今まで痛みなく歩けることってどれだけ幸せなことか改めて感じたな~。生まれながらに体の不自由や痛みで歩くのが困難な人は山ほどいるんだもんな~。自分って幸せ者なんだな~」と考え方を切り替えましょう。
「とは言っても無理だよ~」と思うかもしれないですが、自分で自分の体を傷つけてしまうのは非常にもったいないので最初は無理やりかもしれませんが、できるだけネガティブ感情をポジティブに感じられるように考えるようにしましょう。
足底筋膜炎(足底腱膜炎)は一生治らない疾患ではありません。長期に痛みを伴っていても必ず治ります。治らなくしているのはご自身のネガティブ感情かもしれません。まずご自分にできることは長くネガティブ感情をもたないことです。これは今からでもできることなのでぜひおこなってみてください。