ランニング時の着地について
最近は健康思考が増え運動を積極的に行う方が多くなってきました。その中でもランニングを始めるようになった方は多いのではないでしょうか?
さてランニングなど長距離を走る際に踵から着地を心がけている方は多いと思います。特にマラソンの場合でも踵からしっかり着地することは大切だと言われてきました。
しかし最近の研究では長距離を走る際に踵ではなく前足から着地する方が効率的だとわかってきました。
今まではつま先から着地する方が足への負担が大きく長距離などには向いていないと言われてきましたが逆に踵から着地する方が大腿四頭筋が緊張してしまい脚全体への負担が大きくなってしまうのです。
その証拠に世界トップレベルの選手たちのほとんどは踵ではなく前足から着地をしています。そうすることで特にアキレス腱を活用し効率的に筋力を使いながら脚への衝撃を減らし、より早く走ることができるのです。
あの有名なウサイン・ボルト選手もこのアキレス腱を最大限に活用していることが最近の研究で明らかになりました。彼は短距離走の選手ですが長距離においても同じことが言えます。
今までは長距離と短距離では遅筋と速筋という筋繊維に関しての観点でしか考えられてきませんでしたが近年では筋肉だけでなく腱も重要視されるようになってきました。
またアキレス腱の重要性が説かれる中で足部の機能に関しても関心が高まってきています。これまでは膝や股関節などの筋力を上げることで走りを強化するという手法がとられてきましたが、最近では一部の筋力を強化するよりも足部も含め身体全体で荷重の負担を吸収し効率の良い動きを求めるようになってきたのです。足部の機能を高めるとパフォーマンスだけでなく怪我の予防にもつながります。
足部の機能を高めるにはまずアーチに着目する必要があります。
走るにも歩くにもアーチというのはとても重要です。みなさんもご存知のようにアーチは内側の縦アーチと外側の縦アーチ、そして横アーチがあります。
このアーチを強化する際に思いつく運動はいくつかあると思います。
よく耳にするタオルギャザーやチューブトレーニングなどは実践されている方も多いのではないでしょうか。しかしこれらの運動療法は十数年経過した今でも確かな検証が行われていないのです。
実はアーチを強化する際に注目すべきなのは外側の縦アーチと横のアーチになります。実際に足が地面に着くときに接している部分は外側と前足の部分です。つまり地面に接するアーチが弱くなれば必然的に内側のアーチも崩れてきます。
この外側の縦アーチの機能を高めるのに重要な役割をしているのが立方骨という骨になります。親指からでる筋肉はこの立方骨に付着しており歩く際に安定性を維持してくれるのです。また外側のアーチを形成、維持するのに最も重要な部分とも言われています。なのでこの立方骨が正しい位置にあるかどうかがアーチを強化する上で非常に重要な鍵となってきます。
立方骨を正しい位置に戻し安定させることでアーチも機能してくるようになります。
またアーチも大切ですが走る上で重要になってくるものがもうひとつあります。それは踵です。この踵が内側もしくは外側に向きすぎているかで、かなりパフォーマンスに影響が出て来ます。特にこの踵の向きを決める上で鍵となるのが距骨という骨です。この距骨と踵の骨(踵骨)が形成する関節を距骨下関節といいますがこの関節が内か外かを向いていると踵もずれてきてしまいます。この距骨という骨には筋肉がくっついていません。なので筋肉に影響されることのない骨なのです。そして踵の位置を保つにはこの自由な距骨が垂直に保たれてる必要があります。
この距骨が正しい位置にくるとどうなるのでしょうか?まず、踵が正しい位置に安定し動きがスムーズになります。走りやすい蹴りやすいといった具合です。
骨にズレが生じれば軸もぶれて動きも悪くなりますが距骨が正しい位置にくると踵も安定するので動きが良くなり結果パフォーマンスの効率も上がってきます。
そして踵が安定すればそこに付着してるアキレス腱も効率よく動くので結果、走りやすい状態になるのです。
ランニングをする中で同時に足や膝を痛める方も増えています。とくに足は私たちの体重を支えてくれる大切な身体の一部です。皆さんに痛みなく運動を楽しんで頂きたいです。