膝内側の痛み(鵞足炎)にシップは効果あり?

スポーツをしている人たちが膝内側の痛みを訴えた場合、鵞足炎や内側半月板損傷、内側側副靭帯損傷、タナ障害などがあげられます。半月板損傷は膝を捻るようなスポーツに好発し、内側側副靭帯損傷はコンタクトスポーツやスキーなどで起こります。鵞足炎は様々なスポーツで起こることがあり、膝内側の痛みの中では一番多いと言ってよいです。
膝内側の痛みを訴える疾患にはその他に変形性膝関節症があげられます。全ての膝疾患の中では変形性膝関節症が一番多いですが、変形性膝関節症は高齢者に多発する疾患であり、膝内側が痛くなるスポーツ障害では鵞足炎が一番多いと言えます。
近年はマラソンブームもあり膝内側の痛みを訴えるランナーの方はとてもたくさんいらっしゃいます。ランナーの方は膝が痛くなっても一日でも早く治したいと考えることでしょう。膝の痛みを改善するためには様々な治療法がありますが、膝内側が痛む鵞足炎にはシップは効果があるのでしょうか?

膝内側の痛み(鵞足炎)だとシップを処方される可能性大

スポーツをおこなっていて、膝内側に痛みを感じ整形外科を受診したとします。レントゲン検査をして骨に異常がなく、一定の部位に圧痛があると鵞足炎(がそくえん)と診断されます。鵞足炎(がそくえn)の場合、鵞足部(がそくぶ)と言われる膝内側の部分に圧痛がでます。走っていたりスポーツをしているときに痛むのもこの部分です。
左の写真の付近に痛みが出ることが多いです。もしご自分で判断する際も圧痛があれば鵞足炎(がそくえん)の可能性も考えたほうが良いでしょう。しかし、圧痛のみで鵞足炎(がそくえん)と決めない方が良いので専門の医療機関を受診することをお勧めいたします。

整形外科へ受診し「鵞足炎」と診断された場合、シップを処方されることがほとんどです。処方されるシップも非ステロイド系の消炎鎮痛効果のあるものが多いです。最近ではモーラステープが処方されることが多いです。
シップの効果により炎症を起こしている部分の消炎鎮痛を図り、膝内側の痛みを改善するという目的でシップが処方されます。

一過性に痛みは治まってもシップでは根本改善にはならない

膝内側の痛みが改善しないため、スポーツを一旦中止し、湿布を毎日貼っていると膝内側の痛みが軽減してくることがあります。日常生活の痛みがなくなっていたので再びスポーツを始めてみるとまた膝の内側に痛みがでてきてしまいます。ごくまれにシップのみで痛みが改善する場合がありますが、ほとんどの方が残念ながらシップをいくら貼っても鵞足炎の根本改善にはなりません。ごくまれに痛みが改善する方もシップの効用というよりもご本人の自然治癒力で治したのだと思います。
ではなぜ膝内側の痛み(鵞足炎)はシップでは根本改善にはならないのでしょうか?

膝の内側の痛めてしまうのは炎症が原因なのではなく膝の内側に負担のかかる動きをしてしまっているから

膝の内側の痛み(鵞足炎)になってしまうのは鵞足を形成する3つの筋肉(縫工筋、薄筋、半腱様筋)が硬くなり付着部を牽引したり、ピンと張った状態で膝内側を通過する際に大腿骨内側上果(膝の上内側のでっぱり)の部分に擦れて痛みを起こすと言われています。
鵞足を形成する3つの筋肉が極端に硬くなり鵞足部に負担をかけてしまうのは体の連動性が欠けて膝内側に負担のかかる動きになってしまっているからです。そのためシップを貼って炎症をとっても膝の内側に負担のかかる動きをしてしまうと再び膝の内側が痛んでくる可能性はかなり大きいといえます。
体の連動性とは、簡単に言うと体全体を使った動きができるかどうかです。

例えば「歩く」という動作の時に、体の連動性がとれている体は腹筋、背筋、下肢の筋肉、上肢の筋肉をバランスよく使用するため、一つ一つへの筋肉への負担は減ります。

連動性がとれていない体は下肢のみの筋肉を使用し、腹筋、背筋、上肢の筋肉はほとんど使用しないため下肢にかかる負担は増えてしまいます。結果、膝を痛めたり、筋肉痛を起こしたり、肉離れを起こしたりしてしまいます。
体の連動性がなくなってしまう理由として
・猫背などの不良姿勢
・過去の捻挫による下肢のアライメント不良
・本来の使い方を知らない
などが多くみられます。
上記に当てはまるものに心当たりがある人はまずはそれから改善しない限り膝内側の痛み(鵞足炎)を改善しようとしてもなかなか改善は難しいでしょう。猫背があると感じる方は電車でのスマホの閲覧(もしかしてこの記事を読まれていたらすみません。笑)で下向き姿勢になっていないか気をつけましょう。過去に捻挫の既往がある方は、なかなかご自分では改善が難しいので足に詳しい整体院や治療院に相談してみると良いでしょう。本来の足の使い方も足に詳しい整体院や治療院に相談に行った際に聞いてみると良いかと思われます。


スポーツを定期的に楽しんでいる方は膝の痛みでスポーツが行えないことはとてもストレスがかかることだと思われます。整形外科へ行って相談しても「安静にしていれば治るよ」「スポーツをしなければ平気でしょ?」などと言われ一刻も早く治したい気持ちを汲んでくれません。
スポーツをすることで自律神経、ホルモンバランスも整います。精神面のみではなく身体全体に及ぼす良い影響も大きいため、膝内側の痛み(鵞足炎)でお困りの方は根本から痛みを改善し、楽しいスポーツライフを続けるようにしましょう。

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