なかなか治らない膝内側の痛みの原因とは?
スポーツをしている人だとレントゲンを撮り骨に異常がなく、鵞足近辺に圧痛があれば鵞足炎」と診断されます。膝蓋骨内側近辺にクリック音と圧痛、痛みがある場合はタナ障害である可能性があります。ロッキング現象、階段昇降での痛み、膝関節を捻った際の痛みでは内側半月板損傷である可能性があります。タナ障害や半月板損傷はMRI検査をした結果診断されます。
スポーツをしている人で、膝内側に痛みがあり、寝た状態での曲げ伸ばし運動は痛くなく、足をついた時に痛く、圧痛はちょうど鵞足部付近にあるため「鵞足炎」と診断され、安静にしていてもなかなか痛みはとれず、競技をやろうとすると痛みで全然できない。という状態になることがあります。
鵞足炎は歩けないほどいたくなってしまうことはあまりなく、運動を休むと痛みは少し和らぐことがあります。実は整形外科で「鵞足炎」と診断されても鵞足炎に症状は似ているのですが全く違う疾患が隠れているかもしれません。
鵞足炎と思っていた膝内側の痛みは実は疲労骨折!?
一件、鵞足部に圧痛があり、膝内側の痛みでレントゲンを撮っても異常がない場合は「鵞足炎と診断されます。」この診断自体は決して間違いではありません。しかし、鵞足部が痛く、なかなか治らない膝内側の痛みの場合、かくれ疲労骨折の可能性があります。
左の図の位置(脛骨上方)に疲労骨折が起こることがあります。この部分はちょうど鵞足の付着部であるため、「鵞足炎」と診断されることが多いです。
この部分の疲労骨折の一番厄介なところはレントゲンに写らないということです。なぜレントゲンに写らないかというと骨の中で裂けるような骨折を起こしていることがあり、レントゲンで表面の骨の状態を確認しても異常がみられないことがあります。
また発症して間もない時はMRI検査をしても画像上、問題がなく発症後10日~2週間程度経過してからMRI検査をすると異常が診られることがあります。
そのため、疲労骨折であることを見落とされなかなか改善しない膝内側の痛みになってしまう場合が多いです。
鵞足炎の場合、スポーツで痛めたとしても足がつけないほどの痛みがずっと続くということは稀です。この場合は疲労骨折を疑ったほうが良いでしょう。
また痛み発症から数日経って歩くのは平気だがジャンプすると痛いという場合や脛骨(スネの骨)を叩くと痛みを感じる膝内側に響くという場合は疲労骨折である可能性が高いです。
この部分の疲労骨折は稀ですが、鵞足炎と診断されなかなか改善しない場合は疲労骨折である可能性も頭に入れておいた方が良いです。膝内側の痛みが発症から2週間経っても痛みが和らいでこない場合は一度MRI検査を受けたほうが良いかもしれません。
疲労骨折をしてしまった動きも見直す必要がある
膝内側の痛みが疲労骨折であった場合、1か月程度安静にしていれば痛みは治まってくるでしょう。しかしこの部分に疲労骨折が起きてしまうということはあからさまに膝内側近辺に負担のかかる動き方になってしまっていると言えます。それは下肢のゆがみが原因の場合もありますし、体全体を使った連動性の欠如により膝内側にかかる負担が増している場合もあります。膝内側に負担のかかってしまう動きを改善しない限り、再び疲労骨折を起こしてしまう可能性もありますし、鵞足炎や内側半月板損傷などを起こす可能性もでてきます。
せっかく疲労骨折から改善したのに他の膝内側の部位が痛んでしまったとなってしまうと安静にして痛みを改善した意味がなくなってしまいます。
この先膝内側に負担のかからない動きにしてあげるのが何よりも重要です。体の連動性や骨のゆがみを正すことはなかなかセルフケアでは改善することが難しい場合が多いため一度専門の医療機関に相談し、膝内側に負担のかかりやすい体を改善する必要があるでしょう。