膝内側の痛みとO脚の関係

膝の内側に痛みを訴える疾患は様々あります。変形性膝関節症、内側半月板損傷、鵞足炎、内側側副靭帯損傷、タナ障害、離断性骨軟骨炎、膝蓋下脂肪体炎などがあげられます。
膝の内側の痛みを訴える方はO脚であることが多いです。O脚になるとなぜ膝に負担がかかってしまうのでしょうか?

重要なのはミクリッツ線

下半身の股関節の大腿骨頭(だいたいこっとう)と足首の距腿関節(きょたいかんせつ)を結んだ線をミクリッツ線と言います。ミクリッツ線は荷重がかかるラインです。
通常の足ではミクリッツ線は膝の中央を通ります。ミクリッツ線が膝の中央を通るため、歩行時などにも太ももの骨(大腿骨)はぶれることなく安定した状態になります。そのため、膝関節自体も左右の安定性が保たれるため、内側、外側の軟骨や半月板に均等に荷重がかかるため、軟骨、半月板が長持ちします。この状態でスポーツなどをしていても膝自体に極端な負担がかかることはありません。

これがO脚になるとミクリッツ線は膝の内側を通るようになります。ミクリッツ線が内側を通ると荷重が膝の内側にかかることになるため、膝関節の内側の軟骨、半月板には常に強力な圧縮力が加わることになります。この状態で歩く、走るなどをしていると膝内側の軟骨、半月板の変性が進行します。そうなるとさらに膝関節の不安定感が増し、膝周りの靭帯や筋肉にも負担をかかるようになります。
正面から歩く姿をみて大腿骨頭と距腿関節に仮想線を描き、その線よりも膝が外側に向くような歩き方をしている人は歩くたびに膝内側の軟骨、半月板や軟部組織に負担をかけた歩き方になっているといえるでしょう。現在膝に痛みを感じていなくても、この状態で歩くことやスポーツなどをおこなっているとやがて膝の痛みを起こすリスクは高いといえます。
ミクリッツ線が膝の内側を通っている場合、シップやアイシング、ステロイド注射などで一時的に痛みを解消しても内側の軟骨や半月板、その他の軟部組織に負担がかかることになるので再び痛みが起こる可能性も十分にあります。

O脚の方はただ単に膝のみにフォーカスして痛みの改善を図るよりも体全体のゆがみを改善し、O脚の改善から膝内側に負担のかからない体づくりが必要になります。

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