膝の痛みを訴える人の中には「お皿の内側が痛む」と訴える方がいます。Ⅹ線(レントゲン)画像診断では異常なし。鵞足炎(がそくえん)よりはもっと前方よりの部位が痛み、内側半月板?と考える方が多いです。果たしてこの痛みはどこが原因で起こるのでしょうか?
歩いている時、走っているときにつま先がまっすぐ向いているのに膝が内側を向いてしまうことをNnee-in(二―イン)と言い、膝がまっすぐ向いているのにつま先が外側を向いてしまうことをToe-out(トゥーアウト)と言います。
Nnee-in(二―イン)とは歩く、走るなど動作時に膝から下の骨(下腿)に対して太ももの骨(大腿骨)が内側に内旋している(内側に捻じれている)状態です。太ももの骨(大腿骨)が内側を向くと太ももの骨の上に乗っかるお皿の骨(膝蓋骨も)内側を向くことになります。
お皿の骨が内側に位置することによりお皿の骨の上側にくっつく太ももの筋肉(大腿直筋)は上外方へ引っ張る力が強くなります。お皿の骨(膝蓋骨)の下側にくっつく膝蓋靭帯(しつがいじんたい)もカ外方へ引っ張る力が強くなります。
結果、上からは上外方へ引っ張られ、下からは下外方へお皿は引っ張られる形になり、お皿は外側へ引っ張られる圧を常にかけられた状態になります。お皿の骨が常に外側に引っ張られた状態で歩く、走る、階段の昇り降りなどをおこなっていると、お皿の内側にくっつく内側膝蓋大腿靭帯(ないそくしつがいだいたいじんたい)や内側広筋、内側膝蓋支帯(ないそくしつがいしたい)といった組織に常に牽引力がかかることになり、お皿の内側に痛みを起こすことがあります。
話をまとめるとお皿が外側に引っ張られることによりお皿の内側にくっつく組織に牽引力がかかりお皿の内側に痛みを引き起こすということです。
Toe-out(トゥ―アウト)とは歩く、走るなどの動作の時に膝がまっすぐ前を向いているのに対して膝から下(下腿) が外側に捻じれている状態です。膝から下が外側に捻じれることによりお皿の下にくっつく膝蓋靭帯が下外方へ引っ張る力が強くなります。お皿の上側にくっつく大腿直筋は通常時から上外方へひっぱる力があるため、お皿の骨(膝蓋骨)は上では上外方へひっぱられ、下では強く下外方へひっぱられることになります。結果、お皿は外側へ引っ張られる形になり、膝の内側の組織に牽引力がかかり、膝の内側に痛みを引き起こします。
Nnee-in、Toe-outともにお皿の骨(膝蓋骨)を外側へ引っ張る形になり、お皿の内側にくっつく内側広筋や膝蓋大腿靭帯(しつがいだいたいじんたい)、内側膝蓋支帯(ないそくしつがいしたい)に牽引力がかかりお皿の内側に痛みを引き起こします。
この痛みの場合、いくらお皿の内側の組織の炎症を抑えたりしてもお皿の外側にひっぱられる状態を改善しないと根本治療にはつながりません。太ももの骨(大腿骨)が内側に捻じれたり、スネの骨(脛骨)が外側に捻じれてしまうのは関節のゆがみから起因することもあります。骨盤から下肢全体の歪みを正すことでお皿の内側の痛みから改善される可能性があります。