自分で鵞足炎であるかどうかを判断するには?
では膝内側痛が鵞足炎である可能性をどのように判断すればよいのでしょうか?
①可動域制限がないかを診る
膝の痛みを訴える場合、痛みとは別に曲がらないなどの可動域制限が起こることがあります。鵞足炎の場合、太もも周りの筋肉である縫工筋(ほうこうきん)、半腱様筋(はんけんようきん)、長内転筋(ちょうないてんきん)の3つの筋肉が膝の内側近辺で腱となり、過度な屈伸運動などで太ももの骨と摩擦して起こると言われています。そのため、鵞足炎は膝関節内には炎症反応が出ないため膝関節が腫れるということはありません。
しかし、鵞足の摩擦を防ぐための滑液包という袋が膝内側にあります。その部分が多少腫れることはありますが、膝関節そのものが腫れることはありません。
変形性膝関節症や半月板損傷などでは膝関節を包む関節包が炎症を起こし、膝関節内に水が溜まります。そのため、膝を曲げようとすると関節内の圧が増し膝が曲がりません。
一方鵞足炎は膝関節内の疾患ではなく膝の内側の腱の炎症であるため、可動域制限は起こりません。
鵞足炎かどうかの検査
まず座っていただき写真のような姿勢をとってください。
その姿勢から足首を持って、踵をお尻にくっつけるように近づけていきます。
鵞足炎の場合は可動域制限はほとんどでないため、お尻に近くまで曲がります。この時に太ももが張ってしまって曲がらないという方はまた別の話です。
一方、変形性膝関節症や半月板損傷で膝関節内に炎症症状がある人はこの動きをすると踵があまりお尻のほうへ近づきません。頑張って近づいたとしても膝内側に痛みをともなうばあいがあります。
膝を踵に近づけても得に痛みなく曲がる→鵞足炎である可能性あり
膝を踵に近づけると痛んだり、曲がらない→変形性膝関節所や半月板損傷による膝内側の痛みの可能性あり。
という判断ができます。しかし、この検査のみで鵞足炎であるかどうかの判断は難しく、専門の医療機関に細かい触診をして判断してもらうのが良いでしょう。
また50代以降になると鵞足炎と変形性膝関節症両方併発している場合もあるので鵞足炎のストレッチなどで改善しない場合や上記の検査で痛みが出る方は併発している可能性もあることを頭に入れておきましょう。
鵞足部の圧痛確認
鵞足炎の場合、鵞足部に圧痛が出ます。(押すと痛む。)上記の検査で曲げても痛みがなく可動域制限もない場合、鵞足部を押してみましょう。鵞足炎で痛む範囲はだいたいこの範囲です。
この範囲を押して痛みを訴える場合は鵞足炎である可能性がさらに高いと言えます。
膝の内側に痛みがあり、可動域制限がなく、鵞足部に圧痛がある場合は鵞足炎である可能性が極めて高いと言えます。