レントゲンではわからない膝内側の痛み

膝の内側に痛みを訴え、整形外科へ受診したものの「骨には異常はない」と言われることがあります。多くの場合膝の内側を通る鵞足炎(がそくえん)と診断されることが多いです。ではレントゲン上異常が見つからない場合の膝内側の痛みは全て鵞足炎かというと実はそうではありません。痛む部位も鵞足炎と近いため鵞足炎に間違えられやすいですが、鵞足炎に対する治療をしていても根本原因が違うと全く効果がないためなかなか痛みから改善することができません。現在、整骨院や治療院、整形外科をのリハビリに通い鵞足炎に関係する3つの筋肉、縫工筋(ほうこうきん)、薄筋(はっきん)、半腱様筋(はんけんようきん)を一生懸命マッサージやストレッチなどで緩めても膝の内側の痛みが変わらないという方は原因が別にあるかもしれません。

内側半月板亜脱臼による膝内側の痛み

半月板は軟骨組織であり痛みを感じる痛覚がないと言われていますが、内側半月板の位置がズレる(亜脱臼)ことにより膝の内側に痛みを訴えることがあります。内側半月板が通常ある位置より内側にズレると膝の内側にある内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)を圧迫しその部位で痛みを発することがあります。内側半月板のズレは超音波画像診断などで確認することが可能ですが、レントゲンでは確認することができません。
また、以前までは内側半月板のズレによる内側側副靭帯の痛みという概念がなかったため、整形外科で見落とされがちな疾患となっています。

内側半月板亜脱臼による膝内側の痛みなのにも関わらず、鵞足炎に由来する3つの筋肉、縫工筋(ほうこうきん)、薄筋(はっきん)、半腱様筋(はんけんようきん)をいくら緩めても症状の根本改善にはつながりません。
しかし鵞足を形成する3つの筋肉を緩めることで膝関節にかかる重心バランスが変わり、半月板の位置が多少変わることがあります。この場合、「以前より痛みは楽になったがまだ痛みが残る」ということが多いです。痛みが楽になったからと言って同じ治療をひたすら続けていても一向に膝の痛みがゼロになることはありません。

内側半月板亜脱臼の場合、膝の関節部分の内側の1点にピンポイントで圧痛がでます。その部位が内側半月板が内側側副靭帯を圧迫している部位です。一方で鵞足炎の場合、圧痛が1点ということは少なく、数点圧痛が存在し、圧痛自体は関節部分のみに起こるわけではありません。圧痛部位の数で鵞足炎なのか内側半月板亜脱臼の痛みなのかを判断することも可能です。
今まで鵞足炎だと思って治療していたけどあまり膝内側の痛みが改善しないという方は内側半月板の亜脱臼による痛みを疑った方がよいかもしれません。

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