軟骨が全てすり減っていると手術をしないと治らないのか?
整形外科では画像診断と日常生活の不具合で手術の適応を決める。
画像診断上、関節軟骨がなく、関節がかなり狭まっていても、即人工関節置換術の手術になるということはほとんどありません。画像診断上、関節が狭まっていて、保存療法(湿布の処方や理学療法、ヒアルロン酸注射)などで症状の変化が見られず、患者さんの生活にかなりの支障が起こる場合に手術適応になることがあります。画像だけを見てすぐに手術を勧められた場合は、あまり良心的な医師であるとは言い難いため、セカンドオピニオンを探した方が良いでしょう。レントゲンの画像異常があっても痛みや不具合がない場合もある
整形外科へ行き、レントゲン画像上、関節の間が狭まっていて「軟骨がすり減っているので変形性膝関節症の痛みです。」と診断された方で、当院で治療をし、全く痛みがなくなったので画像上どのようになっているかをもう一度調べてもらおうと整形外科へ訪れた方がいます。結果は画像上関節の狭まった状態は変わっていなかったようです。しかし、その方は膝の痛みの再発をすることなく、今は運動もおこなっています。画像上異常があっても痛みや膝の不具合が回復することは多々あります。これは膝のみに言えることではなく体全体に言えることです。背骨の圧迫骨折でも痛みを感じなくなる!?
老人がしりもちをついた時に背骨の骨がつぶれてしまう「圧迫骨折」という骨折があります。レントゲンを撮った際に背骨の骨がつぶれているのが素人目にもわかります。あるアメリカの医師が圧迫骨折の手術をした群としなかった群でどれぐらいの回復度合い差がでるのかの統計をとる実験をしました。
一方は従来通り、つぶれてしまった背骨の部分にセメントを入れて固める手術をおこなった群
もう一方は、手術台に乗せて麻酔をかけるまで同じで、セメントを入れる手術はしないでそのまま経過を見る群
この両者でどの程度痛みの度合いが違うのか、回復度合いが違うのかを実験してみました。
実験結果は驚く結果となりました。
術後、数年間の経過観察したところ、セメントを入れた群も入れなかった群も痛みの度合い、生活レベルともに全く変わらなかったそうです。
セメントを入れた群は画像上もつぶれた部分がセメントで固まっていて、セメントを入れなかった群は痛みが全くないにも関わらず、背骨はつぶれたままでした。
背骨はつぶれているのに痛み、生活への支障は全くなくなってしまったのです。
この研究結果からも画像診断=痛みの根本原因ではないといえます。
画像がもとの正しい状態に戻らなければ治らないというわけではありません。
変形性疾患の場合、むしろ今までの生活の負荷の代償として変形を起こしていると訴える先生もいます。なのでそれを無理に突貫工事のように手術をしても根本改善とは言えないでしょう。変形が進んでいるということはその部分に負荷のかける動きをしてしまっているのでまずはそれから改善する必要があります。
画像診断上、軟骨が減っているからといってすぐに手術という選択をせず、まずは保存療法や運動療法で改善できないか治療を進めたほうが良いでしょう。