グルコサミンは膝に良い!?

変形性膝関節症でお悩みの方なら「グルコサミン」という言葉を聞いたことが多い方がほとんどではないでしょうか?

「老化による膝の痛みは軟骨のすり減りが原因だから老化と共に現象する軟骨成分であるグルコサミンを摂るのが大事!」

テレビや新聞の広告でよく耳にする言葉だと思います。今現在膝の痛みでお悩みの方がグルコサミンのサプリメントを飲んでいるという方も多くいらっしゃると思います。大手製薬会社のグルコサミンサプリメントの説明を見ると、「普段の食事では摂りきれないグルコサミンをサプリメントで補いましょう」と書いてあります。

では本当に膝の痛みにグルコサミンが効果があるのでしょうか?

グルコサミンって何?

「グルコサミン」は軟骨成分であるということを聞いたことがある人は多いと思いますが、グルコサミン自体を詳しく詳しく知る方は少ないと思います。


グルコサミンとは、キチンという成分を塩酸で分解して作られたものです。
カニやエビの甲羅、イカの軟骨などに含まれているもので市販されているサプリメントはエビやカニの甲羅から抽出したもので作成されているものが多いようです。

グルコサミンサプリメントを摂取した時に、身体の中に吸収されやすいように、グルコサミンをさらに分解して作られたものがN-アセチルグルコサミンです。簡単に言うとグルコサミンという状態だと大きすぎて吸収されないので、それを細かくして吸収しやすくしたのがNーアセチルグルコサミンです。

-アセチルグルコサミンは、ヒアルロン酸に含まれる成分です。

ヒアルロン酸の働きは、関節の動きの潤滑剤となる働きをすることです。整形外科でヒアルロン酸注射を膝関節内にするのは関節の動きの潤滑剤となるため潤滑剤をそのまま注入すれば関節の動きが良くなるのではという考えからです。

変形性膝関節症の場合、関節軟骨や関節液が減少すると言われています。関節軟骨、関節液にはにはコンドロイチンという成分が含まれており、N-アセチルグルコサミンは、このコンドロイチンを作る働きを促す作用もあります。

話をまとめると、
・グルコサミンは、関節の潤滑剤の役割をはたすヒアルロン酸の成分の一つである。
・グルコサミンは関節軟骨や関節液の成分であるコンドロイチンを作成を促す。

結果、グルコサミンを摂りましょうということになっています。ほとんどのサプリメントがグルコサミンとコンドロイチンが一緒に含まれているものが多いのもこのような関係からです。

膝痛には効果のないグルコサミンサプリメント

一件、グルコサミンの成分や働きをみると「膝痛には効果があるのでは!?」と考える人は多いと思います。しかしサプリメントは健康食品であり、医科学的に効果が証明されるものではありません。 実際に医学的効果が認められているものならば整形外科で処方されてもおかしくありませんが、整形外科では処方されません。中には保険適応外で販売しているお医者さんもいますが、これは医学的効果というよりお金儲けにやっているほうが大きいでしょう。

グルコサミンは摂取しても、体内で有効成分として働くために、N-アセチルグルコサミンの形へと変換される過程で、そのほとんどが便として体外に排出されてしまいます。そのために口から摂ったグルコサミンが膝の軟骨へ行き届き、潤滑剤として働くかといわれると「???」な部分が多いのです。

そもそも軟骨成分を摂ったら軟骨になるのか?残念ながらなりません。軟骨成分を食べて軟骨になるのでしたら、我々が普段食べている鶏肉や豚肉は筋肉です。鶏肉と豚肉を食べるだけでどんどん筋肉が大きくなるわけではないことを皆さんもお解りのことだと思います。


「グルコサミンを飲んで膝が楽になった!」という人は○○の効果が高い可能性大!?

皆さんのお知り合いの中には「グルコサミンサプリメントを飲んだら膝の痛みが治ったよ!あなたも飲んでみれば?」とお勧めしてくる方がいるのではないでしょうか?私も臨床の場で患者さんから「友人がグルコサミンサプリメントで膝の痛みが治ったから私にも勧めてくるのですが先生はどう思いますか?」と数名の方から質問されたことがあります。

上記でも説明したようにグルコサミンが口からサプリメントとしてとっても体内に吸収され、軟骨へ行き届くのはほぼ考えられません。しかしなぜグルコサミンを飲むと膝の痛みが改善するのでしょうか?

人間には「プラシーボ効果」と言い、お薬そのものに全く効果がなくても約30%の人に症状の改善がみられることがあります。

例えば「これは降圧剤です。」と言ってお薬成分のないカプセルを高血圧の人に飲ませたとします。そうすると約30%の人の血圧が下がることが実験でわかっています。

特にプラシーボ効果は「痛み」に対して良い反応がでると言われています。

そのため、「軟骨成分であるグルコサミンを摂ると膝が治る」といわれるとなんとなく効きそうな気もしますし、100人に30人はプラシーボ効果が現れるのです。

プラシーボ効果でも良くなっていく方向に進めば決して悪いことではありません。むしろそれが効いていると思って飲み続けることで自然治癒力が高まりどんどん改善の方向へ進むこともあります。


グルコサミンサプリメント自体は医学的にみると膝の痛みに効果があるかと言われると残念ながら効果は期待できません。しかし、プラシーボ効果による痛みの緩和される可能性はあります。現在、飲み続けていて効果を感じる方はプラシーボ効果が働いていて良い方向に進んでいますので引き続き飲んで様子をみたほうが良いかもしれません。

一方、飲み続けてもあまり効果がない、これから飲もうと思っている方はそれほど大きな効果は期待できないのであまりお勧めは致しません。




膝の痛みに良いのはサプリメントではなく日常の食生活を見直そう

どうしも「膝に良いサプリメントはないか?」と探す方が多いですが、変形性膝関節症の場合、サプリメントを摂るよりも膝の血液循環を良くする食べ物を取ったほうが良いでしょう。
血液循環を良くするものを摂るというより、血液循環を悪くしている食べ物をまずはやめるべきです。
甘いもの、糖類、脂肪の多い食事、お菓子類などは毛細血管を詰まらせ血液循環を悪くし、膝の軟骨の老化を進行させます。

なのでまずは膝に良いものを摂ろうとする前に膝に悪影響な食生活を見直すのが一番の解決策になると思われます。

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