変形性膝関節症で行われる骨切り術とはどうゆう手術?
変形性膝関節症の手術には高位脛骨骨切り術と人工関節置換術がよくおこなわれる手術です。高位脛骨骨切り手術とはどのようなものなのでしょうか?
高位脛骨骨切り術とは?
変形性膝関節症の患者の足はO脚変形を呈します。O脚に変形することで膝の内側に余計に荷重がかかるようになり、軟骨同士がぶつかり合いすり減ってやがて骨同士がぶつかり合うようになり強い痛みを引き起こします。O脚を改善し、膝の内側にかかる荷重を減らすために高位脛骨骨切り術はおこなわれます。高位脛骨骨切り術をおこなうとO脚状態であったあしはX脚になるといわれています。人工関節置換術は膝関節全てが人工物に変換されるのに対して高位脛骨骨切り術はその人の膝関節自体は残る為、手術後に正座ができるようになったり(約60%の方が可能になると言われている)、スポーツをおこなうことができるようになる場合もあります。
高位脛骨骨切り術には2つの術式があります。
脛骨の内側を切って人工骨を入れてO脚を改善する手術(Open Wedge HTO)
この手術の場合、手術による侵襲が少なく合併症も少ないことから近年Open Wedge HTOで手術をおこなう病院が増えてきています。(2018年現在、術式は年々変わります) しかし、O脚を矯正できる角度に限界があるため、変形が大きくO脚の角度が大きい場合はこの術式では改善が難しい場合もあります。
脛骨の外側を楔状に切って骨自体を短縮させてO脚を改善する手術(Close Wedge HTO)
この手術は、O脚変形が強い場合におこなわれます。Open Wedge HTOに比べると侵襲性が大きいことからO脚変形の角度が大きくOpen Wedge HTOでは改善が困難な症例の場合におこなわれます。
術後の経過は?
手術翌日からベッドの上で足を動かす程度のリハビリが始まります。高位脛骨骨切り術の場合、すぐには荷重をかけての歩行訓練などはできないため病院内のリハビリ室で筋力増強訓練や関節の可動域を広げる訓練、日常生活動作訓練などをおこないます。立位、歩行訓練は手術部位に荷重をかけないように平行棒を使用しておこなわれます。2~3週間程度経過し、術後の回復が順調なようであれば両松葉杖歩行の歩行訓練がおこなわれます。3~4週間で片足松葉づえでの歩行訓練、階段を踏んでの訓練と徐々にリハビリの強度を上げていきます。
骨の癒合の状態とリハビリの進み具合が順調に進んでいると1か月半程度から一本杖を用いた歩行訓練を介しし、自力で歩くけるようになります。日常生活でも負担なく生活できるよう階段昇降練習などをおこなっていきます。1か月~2か月で退院となります。
術後の予後は?
高位脛骨骨切り術は自分の膝関節自体は残る為、術後の経過が良い人は運動制限がなくスポーツや立ち仕事、足に多少負担のかける趣味でもおこなえるようになります。しかし足に荷重のかけられない時期が長期間続くため下肢の筋力低下が見受けられるため違和感や痛みが消えるまでに半年程度要するといわれています。入院期間も長期間入院になるため休暇を長くとれる方でないとこの手術を受けるのは難しいでしょう。脛骨骨切り術は60歳以下で症状が進行期である場合におこなわれます。