階段を降りる時に膝の前側が痛む原因とは?
「普通に歩いている時は膝の痛みは全く感じないけど、階段を降りる時に膝の前側が痛む」
「歩行時は痛みはないが、しゃがむ姿勢で膝の前側が痛む」
と訴える方がいらっしゃいます。
階段を降りる時、しゃがみ姿勢で膝の前側が痛むという方は「ここが痛い」とピンポイントで痛む部位を示すことができないのも特徴の一つです。
このような症状を訴える方々は膝のどの組織に問題があるのでしょうか?
膝前側の痛みの原因は膝蓋下脂肪体が原因の可能性がある
歩く動作では痛みが出ないのに階段の降りる時、しゃがみ込み姿勢で膝の前側に痛みが出る場合、膝の膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)が痛みの原因として考えられます。少し前までの整形外科ではあまり膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)が膝の痛みの原因となるとされていませんでしたが、大腿神経(だいたいしんけい)や閉鎖神経(へいさしんけい)などの神経終末が膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)に分布することが明らかにされました。わかりやすく言うと痛みを感じる神経が膝蓋下脂肪体にはたくさん存在するということです。そのため、膝の痛みと非常に関連のある組織という考え方に変わってきました。膝蓋下脂肪体は膝を伸ばしているときにはあまり圧迫刺激を受けませんが、しゃがみ込みや階段を降りる姿勢など膝を深く曲げる動き、正座などではお皿の骨(膝蓋骨)が膝蓋下脂肪体を圧迫する形となります。通常膝蓋下脂肪体は柔らかい組織で膝の曲げ伸ばしの際にスムーズに膝の中を移動しますが、組織が硬くなったりするとスムーズな移動ができなくなり、膝を曲げる動作でお皿の骨(膝蓋骨)に強い圧迫を受けて痛みを感じるようになります。
階段を降りる時、しゃがみ込みの時の膝前側が痛み、かつ「ここ!」というピンポイントでの痛みが明確にならない痛みは膝蓋下脂肪体由来の痛みである可能性が高いです。膝蓋下脂肪体由来の痛みである場合、硬くなった膝蓋下脂肪体を柔らかくする治療をおこなう必要があります。消炎鎮痛効果のある湿布などをいくら貼っても膝蓋下脂肪体は柔らかくなることはないのでむしろ温めて組織を柔らかくした方がよいでしょう。しかし、線維化している脂肪体は温めるだけでは完治は難しいので専門の医療機関を受診することをお勧めいたします。