変形性膝関節症の痛みがなかなか改善しない理由①
変形性膝関節症は症状が進行すると「人工関節置換術」という大きな手術をする可能性のでてくる疾患です。どなたでも手術は避けたいとお考えになることと思われますが、一向に痛みが改善しないと「手術をした方がよいのかなー・・・」と考えることでしょう。
変形性膝関節症の痛みの原因は様々ありますが、実はご自分で変形性膝関節症の痛みを強めている可能性もあります。そのせいでなかなか痛みが改善しないようにしてしまっている可能性もあります。
痛みを和らげてくれる脳内ホルモンベータエンドルフィンの分泌が低下しているかも!?
戦争中、ある軍人が仲間の兵士を助けるために必死になっていたところ、銃を2発撃たれていたのに痛みを感じることなく走り続け、仲間を助けた後に銃で撃たれたことに気づいたという逸話があります。人間は何かに集中している時には銃で撃たれるほどの激痛でも全く痛みを感じない時もあるのです。このような時には脳内にベータエンドルフィンというホルモンが分泌され痛みを感じなくなります。ベータエンドルフィンはがんの末期患者に使用される痛み止めであるモルヒネの約6倍の鎮痛効果があると言われています。
単純に考えて今のご自分の膝の痛みと銃で撃たれたときの痛み、どちらの方が激痛であるかお解かりになると思います。
人間にはベータエンドルフィンをはじめ、痛みを緩和する様々な鎮痛ホルモンが体内に存在します。痛みは人間にとって不快であるためできるだけそれをやわらげる機構が人間には備わっているのです。
しかし、ベータエンドルフィンなどの鎮痛ホルモンの分泌を低下させてしまうことがあります。
それはストレスです。
ストレスを感じた生活をしているとベータエンドルフィンなどの分泌が低下し、今までの痛みよりもさらに敏感に痛みを感じるようになってしまいます。
変形性膝関節症でなかなか痛みが改善しない方は毎日「痛いな~痛いな~、治らないな~・・一生痛いままなのかな~・・」などと膝の痛みにフォーカスした生活を送っているのではないでしょうか?それはとてもストレスになります。膝のことばかり考えてストレスをためベータエンドルフィンなどの鎮痛ホルモンの分泌を低下させ、痛みが助長している可能性もあります。
例えば鎮痛ホルモンが分泌されている状態だと10が激痛で0が痛みが全く感じない場合、仮に8痛くても鎮痛ホルモンの働きで痛みが4くらいに感じます。
一方、8痛い方で鎮痛ホルモンが分泌されていない人は8痛みを感じます。
強い痛みはさらにストレスになります。この負のスパイラルによって膝の痛みからなかなか抜け出せなくなっている方も多くいらっしゃいます。
鎮痛ホルモン分泌を促すには?
ベータエンドルフィンは別名「幸せホルモン」と呼ばれているホルモンです。楽しいことを考えたり、達成感があるときにベータエンドルフィンが分泌されやすいと言われています。ストレスを溜める考え方をやめて楽しいことを考える
ということはベータエンドルフィンの分泌を促します。
現在の痛い、辛い症状にフォーカスせずに「痛みが治ったら何をしようか!どこへ行こうか!」など痛みが全くなくなってやりたいことを考えるようにしましょう。そうすることで鎮痛ホルモンの分泌も促すことができますし、良いイメージは自然治癒力を高めます。
また、痛みがあるからと家の中でこもっているよりもできる範囲内で外出してランチや趣味など膝の痛みを忘れることのできる生活を行ったほうが良いです。
膝が痛い痛いといってストレスを溜める生活ではなく、膝が痛くても今楽しめることを積極的におこない、痛みが治った暁にはこれをやるんだと楽しい未来をイメージしながら生活しましょう。
「そんなことで治るの?」と思うかもしれませんが大いに関係あります。痛み、体の治癒の指令などこれは全て脳がおこなっています。変形性膝関節症の痛みの改善のために体の司令塔(脳)をうまく使うのは非常に重要なことです。ぜひ毎日の生活で意識してみてください。