膝の上が腫れるのはなぜ?
膝の上は膝関節内とつながっている。関節内に水が溜まっている証拠
膝の上は膝蓋上包(しつがいじょうほう)と言い袋状の組織が存在します。図をみていただければおわかりのように膝蓋上包は膝関節内と繋がっています。膝蓋上包も膝関節も滑膜(かつまく)という膜につつまれています。全て一枚でつながっていますのでイメージとしてはひとつの風船の中に水(関節液)が入っているかんじです。膝関節の中の軟骨同士がすり減ってすり減った粒子が関節内に飛び散ったりすると関節を包む滑膜という膜にぶつかります。普段関節の中には異物はないため、滑膜に軟骨の粒子がぶつかると「異物が入ってきた」と反応し、異物をやっつけるために炎症を起こすようになります。滑膜が炎症を起こすと膝自体の痛みを起こします。それと同時に滑液という液体を関節内に産生します。これが「膝に水が溜まる」メカニズムです。滑膜が炎症し続け滑液を産生し続けると関節内の内圧は高まりやがて膝蓋上包のほうまで水が溜まるようになります。そうなると膝の上側が腫れるようになります。根本原因は膝関節内の滑膜の炎症であるためいくら腫れている膝の上にシップなどを貼っても症状の改善にはつながりません。膝関節の滑膜の炎症を抑えるような治療をおこなうのがよいでしょう。
膝の上が痛む=膝の上が腫れるではないことを頭にいれておく
関節内の炎症が長期にわたり滑液の産生が過剰におこなわれると膝蓋上包の内圧も高まり痛みとして感じることもあります。しかし、膝の上が痛む原因は膝の上にある太ももの筋肉(大腿四頭筋・だいたいしとうきん)の牽引痛である場合も考えられます。そのため膝の上が痛むからといって膝蓋上包が関係した痛みでない場合もあります。しかし太ももの筋肉由来のいたみである場合は膝の上は腫れることはありません。膝の上が腫れているならほぼ膝蓋上包が原因といってよいでしょう。膝の上がパンパンに張るほど腫れていて膝に痛みが強い場合、膝関節内の内圧がかなり高い状態です。水風船にパンパンに水が入った状態です。この状態だと膝を包む滑膜に圧力がかかり強い痛みを感じます。この場合、一過性に注射で水を抜くと関節内の内圧が下がる為、痛みはやわらぎますが、水が溜まる原因(滑膜が滑液を産生する)を取り除かない限り再び痛みは起きてきます。そのため、また注射で水を抜くということを繰り返します。注射で水を抜くのは根本治療にはならないことを念頭にいれながら現在の症状によって治療の選択が必要になります。