変形性膝関節症にステロイド注射は効果あり?

中高年の方に多く発症する膝の痛みである変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)。罹患数は約1000万人とも言われ、予備軍も含めると3000万人近くいると言われています。ほとんどの中高年の方が予備軍に含まれるほど膝の痛みでお困りの方、今後膝の痛みが発症する可能性のある方はたくさんいらっしゃいます。変形性膝関節症を患うと日常生活に支障をきたすほど痛みが強くおこることもあります。歩くのが困難なほど痛みが強くなる場合もありいずれは膝関節(ひざかんせつ)を人工の関節に変える「人工関節置換術」をおこなうこともあります。
手術は大きな手術になるためできればどのかたも手術は避けたいとお考えになることでしょう。

しかし、「1日でも早く今の痛みから解放されたい・・・」

多くの方がそのようにお考えになることと思われます。整形外科を受診すると痛みが強い場合、ステロイド注射を打つ場合があります。ステロイド注射は変形性膝関節症に効果があるのでしょうか?

強い消炎鎮痛効果のため劇的に痛みが改善する可能性もある

ステロイド注射は強い消炎鎮痛作用があるため、注射後に劇的に痛みが改善するケースもあります。特に膝が腫れていて熱を持っているような膝の方の痛みは劇的に改善する可能性が高いです。腫れていて熱を持っている場合や、寝ていても膝に痛みがある方などは膝に炎症反応が起きているためステロイド注射で炎症を抑えてしまえば痛みが劇的に改善します。

ステロイド注射は副作用も強く使用には十分に注意が必要

ステロイド注射は強い消炎鎮痛効果のため、変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)の痛みが劇的に改善する可能性もあります。しかしステロイド注射はタンパク質分解作用があるため筋肉や腱(けん)、靭帯(じんたい)をもろくしてしまう可能性があります。
変形性膝関節症の原因の一つとして筋力低下があげられますが、ステロイド注射を打つことで筋肉が弱くなりさらに膝にかかる負担が増してしまいます。そのため、注射後は痛みが劇的に改善しても1か月後から数か月後には痛みが戻ってきます。ステロイドを打った後に再び膝が痛くなってしまった場合は他の治療をしてもなかなか痛みが改善しずらくなってしまいます。これはまわりの筋肉や腱、靭帯がもろくなってしまうため、体重を支えるための支持組織が弱いので膝関節自体に負荷がさらにかかりやすくなってしまうからです。
ステロイド注射は根本治療とは言えず、その場の痛みを取り除くための対処療法なのです。
タンパク質分解作用があるためステロイド注射を一度打つと次に打つのは半年間開けないといけませんが痛いからといって何度もステロイド注射を打つ医師は要注意です。いずれは人工関節になることを想定にいれて短いスパンで注射をしている場合もあります。痛みが楽になるからといってステロイド注射を何度も打つのは決して良いことではないことを頭に入れておきましょう。

現在、痛みが起きているのは何かしら原因があります。痛みが悪いわけではなく痛みを起こしている生活習慣や体質(体重や体のゆがみなど)などを変えることが一番重要です。その場の痛みを取ることを考えるのではなく膝が痛くなってしまった要因を考えそれを取り除いてく生活を送った方が変形性膝関節症の痛みを改善、予防できることにつながるでしょう。

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