足首捻挫が及ぼす膝への影響
部活動やスポーツ、日常生活を送る上でも「足首の捻挫(足首をひねる)」は起こりやすいケガの一つです。
特に足裏が内側に向く捻り方(内反捻挫)は足首捻挫の中でも非常に多いです。内反捻挫が起こりやすい一つの原因として内くるぶし(内顆)と外くるぶし(外顆)の位置関係の違いがあります。外くるぶしは内くるぶしより低い位置にあるので、解剖の構造上、内反捻挫を起こしやすくなります。捻挫をすると、足首まわりの靭帯(じんたい)や腱(けん)、筋肉などに負担が掛かり、伸ばされたり、時には切れたりすることもあります。その影響は捻挫を起こした関節から離れている所に出る事もあります。
外くるぶしから上へつながる骨・腓骨(ひこつ)がとても重要
ふくらはぎ(下腿部)には細長い二本の骨が並んでいます。内側を脛骨(けいこつ)、外側を腓骨(ひこつ)と言います。外くるぶし(外果)は一見丸みある形をしているので、外くるぶし(外顆)自体は一つの独立した骨と思いがちですが、実は腓骨(ひこつ)の一部なのです。内反捻挫をすると、外くるぶし(外顆)は床面の方へ引っ張られます。この時、腓骨自体が床面へ引っ張られているのです。このことから、腓骨・脛骨に付く靭帯や筋肉にも影響があります。
膝外側のやや下に位置する、腓骨頭と呼ばれる膝の外側にある丸い形の部分に「外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)」と呼ばれる靭帯があります。この靭帯は膝関節の安定に重要な働きをします。腓骨頭が下がることで外側側副靭帯が伸ばされた状態になり、この状態でスポーツなどを続けているとひざの外側に痛みを訴える事があります。サッカーなどの競技では捻挫をする頻度が高く、サッカー選手で膝外側に痛みを訴える腓骨頭の下がっていて痛みを発症しているケースが多いです。
また、脛骨の上部(膝下)から、親指の裏に付く「前脛骨筋」があります。この筋肉はつまさきを挙げたり、足裏を内側に向けたりします。
足首捻挫により、腓骨(ひこつ)が下にさがることで、腓骨と脛骨の骨の位置関係が悪くなり、前脛骨筋の働きが低下します。
「前脛骨筋」は歩く時につまさきを挙げる働きをします。この筋肉の働きが低下する事で、つまづき易くなります。「ここ最近よくつまづく」という方は、過去の捻挫が原因かもしれません。
前脛骨筋の働きが低下すると、それを周りの筋肉が補おうとし、膝周りの筋肉が硬くなります。その結果、膝に痛みを感じる様になります。
このように捻挫により腓骨が下がってしまうと膝周りの靭帯や筋肉にも様々な影響を与えるようになるので、捻挫をしたら放っておかず、しっかりと治療をすることをお勧めいたします。