足首捻挫の外側側副靭帯損傷に対する手術後のリハビリテーション

足首の捻挫は運動時だけでなく、日常生活を送る中でも起こりやすいケガの1つです。土踏まずは内側に向く捻り方(内反捻挫)が多いです。外くるぶし(外顆)近くにある靭帯が損傷しやすくなります。特に痛めやすい靭帯として、前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)・踵腓靭帯(しょうひじんたい)があります。前距腓靭帯とは、外くるぶし(外顆)の前から、中側に向かって距骨と呼ばれる骨に付きます。

踵腓靭帯とは、外くるぶし(外顆)の下から中側に向かって距骨(きょこつ)と呼ばれる骨に付きます。骨に付着する位置と捻じりやすい動作から、この靭帯は痛めやすくなります。また外くるぶし(外顆)はスネの外側にある腓骨(ひこつ)と呼ばれる骨の一部です。

捻挫の損傷度合は捻った時の体重の掛かり具合や、バランスなどで変わってきますが、損傷度合が大きい時は手術をするケースもあります。では、手術をしてから、運動に復帰するまでの経過と共に合わせた自宅で行なえるリ・ハビリテーションプログラムはどの様なものがあるのでしょうか?

靭帯断裂捻挫の手術後のリハビリテ―ションプログラム

手術当日

手術した関節はギブス固定します。

術後1日~

・足指の筋力強化

「グー、チョキ、パー」など足指を動かします。そうする事で、足先と土踏まずの筋力強化、神経の働きの低下を抑えます。

・関節の位置を動かさない運動

パートナーに足先に手を添えてもらい、足先を手のある方向に動かそうとする。この時にパートナーは足先の力に負けないように、一定の位置に手を置く。この時、爪先を伸ばす(底屈)動作は靭帯に伸長負荷が強いので注意します。この運動は大きく関節を動かす事がないので、負担を掛ける事が少なく、筋力強化を行なえる運動です。

・患部以外の運動

患部以外の運動をすることで、全身の体力低下を防ぎます。また、患部を直接動かさなくても、患部に対して、血液促進や、神経系統の刺激を与える事が出来ます。これを「オーバーフローの法則」と言います。

術後2週間~

・個人差はありますが、この時期にギブス除去をし、足首の内反動作を予防するサポーターを付けます。

・術後から行なっていた運動を引き続きおこないます。

・可動範囲(動かせる範囲)を広げる運動

ギブスが取れる事で、可動範囲が広がります。制限されていた時にはふくらはぎや脛の筋肉などの筋力低下は少なからず起こります。最初は、短い距離から少しずつ歩きます。患側は痛みがなくてもかかと重心で歩く時は爪先の方まで重心移動は行ないにくいです。その為、お尻の筋肉に負担が掛かりやすくなります。ふくらはぎの筋肉が戻ると、歩き方も術前の様に戻り始めます。また、ゴムチューブ等で足首の爪先挙げ運動も効果的です。爪先を挙げる運動はスネの前の筋肉を鍛えるので、歩行のリハビリにはとても効果的です。

術後4週間~

約1カ月経過すると患部の熱感や腫れも引いてきます。この時期にさらに足関節のリハビリで強度を挙げていきます。階段などの段差で足裏半分くらいが段からはみ出すくらいの位置に片足を置きます。そして、爪先立ちをします。もう一方の足は軽く曲げます。この運動でふくらはぎ全体の筋力を鍛えます。また、歩行運動は痛みの無い範囲で行ないます。

術後6週間~

その場での足踏みを行ないます。足首に掛ける負担も少なく、実際に走る動作に近いです。なので、実際に走り始めた時のギャップを少なくします。痛みがなければジョギングを行ないます。

術後8週間~

ジョギングで痛みなどでなければ、ランニングを行ないます。最初は直線的な走りのみ行います。その後、ジグザグ走りや、8の字走りなど、複雑に変えていきます。また、スキップや、蟹歩きの様に横歩行もあります。

術後12週間~

最初は足首にサポーターを付けた状態で運動に復帰します。

この様に約3ヵ月間で、身体の状態に合わせて、様々なリハビリメニューがあります。リハビリは地味で辛い事がある半面、「このリハビリは○○の回復の為に行なっている」と意識する事が大切です。ケガをしても、きちんとしたリハビリメニューを行なえば、必ず回復します。ケガをした時の状態に合わせ、適切なリハビリを取り組みましょう。

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