腸脛靱帯炎は自転車でもなる?
自転車競技(ロードバイク)と腸脛靱帯炎の関係について説明していきます。
腸脛靱帯炎とは?
腸脛靱帯炎とは運動により膝の外側に痛みを訴える疾患です。ランナーの方々に多くみられることからランナー膝と呼ばれています。太ももの外側を通る腸脛靱帯という組織が、膝を曲げ伸ばしを繰り返す運動をすると膝と外側で太ももの骨(大腿骨)とぶつかって摩擦を起こし痛みを訴えると言われています。ロードバイクも膝の曲げ伸ばし運動を何度もするので腸脛靱帯炎になる方は多い競技の一つです。ロードバイクの場合、何度も膝の曲げ伸ばし運動をすることになります。ランニングよりも膝の曲げる角度は大きいため、腸脛靱帯炎が曲げ伸ばしを頻回するのが本当の原因であったらロードバイクをしている方々のほうが数は多いはずです。しかし、実際にはランナーの方が腸脛靱帯炎になるほうが多いです。
腸脛靱帯炎の根本原因は膝の曲げ伸ばし動作ではなく、何らかの要因+膝の曲げ伸ばし運動があったとき
何度も膝の曲げ伸ばし運動をすることが腸脛靱帯炎の原因になってしまうと、ほとんどのロードバイカーが腸脛靱帯炎になるはずです。毎日通勤をロードバイクでおこなっている人などもいますから罹患する率はかなり高いはずです。しかし、腸脛靱帯炎になる人とならない人がいます。その違いは「腸脛靱帯炎になる何らかの要因」がある人たちです。腸脛靱帯炎を引き起こす要因①臀部筋群の硬さ
腸脛靱帯につながるお尻の筋肉(大臀筋)が硬くなってくると腸脛靱帯を引っ張る状態になり、ピンと突っ張った腸脛靱帯は太ももの骨(大腿骨)の部分で摩擦を起こしやすくなってしまいます。
普段デスクワークで姿勢が悪く、骨盤の位置がゆがんでいる方は、ゆがみで不安定になっている骨盤をお尻の筋肉が硬くなって安定させようとします。結果、腸脛靱帯をひっぱっり、腸脛靱帯炎を引き起こします。
臀筋の硬い人がロードバイクをする→腸脛靱帯炎になる可能性大です。
また、ロードバイク自体が臀筋を使用するため、バイクトレーニングを何度もしているのにご自分のメンテナンス(セルフケアや入浴、整体、鍼治療も含む)をしていないとどんどん臀筋は硬くなり腸脛靱帯を引っ張る形になります。結果、腸脛靱帯炎になってしまいます。
腸脛靱帯炎を引き起こす要因②足根骨のゆがみ
足根骨とはくるぶしから下の部分を形成する小さな骨の集まりです。くるぶしから下だけで片足23個もあります。これらの骨のかかとの骨(踵骨)と言う骨を中心にゆがみが起こり、足が回内足になってしまうと、回内足の影響で、脛骨(スネの骨)は内旋し、大腿骨(太ももの骨)は外旋します。結果、膝関節部でねじれを起こし、外側を走る腸脛靱帯にもねじれ,牽引力がかかり痛みを引きおこうことがあります。足根骨がゆがんでしまう原因は過去の捻挫が原因であることが多いです。
詳しくは捻挫の治療をご覧ください。
ロードバイクを楽しんでいる方で、回内足が原因で腸脛靱帯炎になる方はそこまで多くはないです。どちらかと言うと臀筋を硬くして腸脛靱帯炎になってしまう方が多いでしょう。
腸脛靱帯炎を引き起こす要因③仙腸関節の影響
腸脛靱帯炎は膝の外側が痛む疾患です。膝外側の痛みを訴える膝痛として仙腸関節のゆがみなどが原因で膝外側に痛みを訴えることがあります。原因が腸脛靱帯炎ではないのですが、整形外科では「腸脛靱帯炎」と診断されることが多いです。整形外科分野では仙腸関節のゆがみが原因で下肢痛を訴えることを認めている先生もいますが、仙腸関節は動かず、痛みなどは起こさないと考える先生もいます。
また仙腸関節のゆがみはレントゲンなどの画像検査では異常がみられないため膝の外側の痛みが仙腸関節由来だと診断されることはほとんどありません。
腸脛靱帯炎の場合、膝の外側からやや上あたりが痛むと訴える方が多いですが、仙腸関節由来の方は腸脛靱帯全体(太ももの外側)が突っ張った感じが抜けないと訴えてきます。
仙腸関節由来の膝外側から太もも外側にかけての痛みなのにも関わらず腸脛靱帯炎だと思ってずっと同じ治療をしていてもなかなか治りません。腸脛靱帯炎は適切な治療をすればかなり早期に痛みの回復が期待できる疾患です。もし長期的に痛みに悩んでいる場合は仙腸関節由来の痛みかもしれません。
自転車による腸脛靱帯炎は腰回りがポイント
自転車競技をしていて腸脛靱帯炎になってしまう方は臀筋(お尻の筋肉)や仙腸関節など骨盤周りが原因であることが多いです。そのため普段の姿勢を正すこと、臀筋周りを柔らかくすることが重要になります。現在腸脛靱帯炎でお困りのロードバイカーは下記のストレッチをおこなってみてください。
ストレッチをしても痛みが改善しない場合は骨盤のゆがみが強い可能性があったり仙腸関節由来の膝外側の痛みの可能性があります。この場合はなかなかご自分のセルフケアでは改善が難しいのでお近くに専門の医療機関に相談し治療をしてもらうことをお勧めいたします。
腸脛靱帯炎は初期の段階だとある程度痛みを我慢しながら競技が続けられますが、やがて自転車でこぐこともできあいほどの痛みになってしまうこともあり、競技をお休みしないといけなくなってしまいます。より早期に改善を望む場合はより早期に治療を開始することで痛みの根本改善が望めます。