オスグッドにステロイド注射は効果あり
小学生から中学生の時に激しい運動を行っている子に多く発症するオスグッド。最初は運動をしていると徐々に痛みが増す程度だったものがやがて運動をすることができないほどの痛みになることがあります。整形外科を受診すると「オスグッドは成長痛であり安静にするしかない」と診断されることが多くあります。数週間運動を中止して安静いざ運動を開始してみるとやはり痛みがでる。そこで再び整形外科を受診すると「ではステロイド注射を打ちましょう」と注射を勧められることがあります。オスグッドの治療の選択としてステロイド注射をすることは良いことなのでしょうか？
メリットデメリットに関して説明したいと思います。
即効性のある鎮痛消炎効果
ステロイド注射は簡単によると「痛み止め」と注射です。湿布や痛み止めの飲み薬など様々な消炎鎮痛作用が期待できるものがありますが、ステロイド注射は痛み止めのなかで「最強」といえます。とても強い消炎鎮痛効果があり、炎症の起きている部位にピタッと注射ができればその場で痛みが改善するケースもあります。いままで痛かったのがウソのように痛みが改善するケースもあります。これがステロイド注射の最大のメリットだと言えます。整形外科ではシップや飲み薬などの処方をおこなっても痛みがなかなか改善しない場合、ステロイド注射を選択する場合があります。とても高い消炎鎮痛効果がある反面、副作用も大きいため多くの整形外科ではすぐにステロイド注射での対処とはなりません。
逆にいうと初めからステロイド注射を勧めてくる医師は注意が必要です。
強い副作用の結果、治らない膝痛になる可能性も
ステロイド注射は強い消炎鎮痛効果がある反面、タンパク質を分解してしまう作用もあるため、筋肉や腱、靭帯などを弱くしてしまうことがあります。そのためステロイド注射は頻繁におこなうことができず、1回の注射後は半年以上空けたほうがよく、年に２~3回程度しかおこなうことができません。ここ最近、ステロイド注射を数か月の間に数回使用する医師もいますがこれはとてもリスクがあるためお勧めしません。ステロイド注射は炎症部にピタリと当たれば確かに痛みが劇的に改善できます。しかし、そこに当たらなければ比較的すぐに痛みが戻ってきてしまいます。痛みが戻ってきたらと再び注射をおこなうと、どんどんその周りの筋肉や腱、靭帯がもろくなってきてしまいます。ステロイド注射の副作用によりもろくなってしまった筋肉や、腱、靭帯はその後、トレーニングをして改善するものではありません。むしろもろくなった部分に負担がかかり痛みを起こすことも多々あります。ステロイド注射の後遺症でもろくなった部分に痛みがおこってしまうと色々な治療をしてもなかなか改善しなくなってしまいます。
ステロイド注射をする際に医師の技術も必要になります。うまくピタリと当ててくれる医師でしたら痛みは劇的に改善し、注射も何度もしなくてよくなりますが、技術のない医師にしてもらうと返って痛めた組織の周辺を弱くするだけで逆効果になってしまう事があります。
オスグッドにステロイド注射は良い選択か？
オスグッドで苦しんでいる子たちの多くは何かしらスポーツをおこなっており、レギュラー争いをしている。大会で優勝したいなど大きな目標をもった子たちです。成長痛だからといって長い間休むわけにもいかず、1日でも早く治したいはず。そのためにステロイド注射を使用して痛みを改善するというのは１つの選択肢ですが、私の考えからするとステロイド注射は最後の手段です。上記にも書いたように副作用が強く、何度もステロイド注射をすることで治らない膝痛になってしまう事もあります。当院へ来院していた方で、小学校の時にステロイド注射を何度もして大人になってから同じ部位が痛んで来院した方がいましたが、膝蓋靭帯からその周りが変形してしまい、膝の曲げ伸ばしができない状態になってしまっていました。このようにその場では痛みが劇的に改善しても数年後に治らない膝痛に苦しめられるケースもあるためできるだけステロイド注射の使用は避けるべきです。オスグッドの根本原因を改善することが大事
オスグッドは根本原因をかいぜんしてあげればステロイド注射を使用しなくても痛みの改善、スポーツへの復帰ができる膝痛です。オスグッドの主な原因として・体の連動性の欠如
・下半身の関節のゆがみ
・筋膜の癒着
などがあげられます。これらを改善することでオスグッドの根本原因が改善され再発することなくスポーツをおこなうことができます。
詳しくはオスグッドの治療をご覧になってください。
わが子が膝の痛みで大好きなスポーツをおこえないのは親としても大変心苦しいと思います。一日でも早く治したいという気持ちからステロイド注射という選択もありますが、将来的なことを考えるとあまりお勧めはできません。オスグッドはしっかりとした治療をすれば改善が望める膝痛です。まずはステロイド注射以外の治療法を試してみることをお勧めいたします。