お皿の下の痛み=膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)ではない
ジャンプをするバスケットボールやバレーボール競技などで多発する膝蓋靭帯炎。通称ジャンパー膝と呼ばれるためジャンプをすることで起こると思われがちですが、ジャンプ競技以外にのサッカーやマラソンなどでも起こることがあります。膝蓋靭帯炎は膝の内側が痛くなる鵞足炎や外側が痛くなる腸脛靭帯炎(ランナー膝)に対してお皿のちょうど下が痛くなる疾患なので痛みを訴える部位によって診断しやすい部位でもあります。しかし、お皿の下が痛いからといってすぐに膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)だと判断し、膝蓋靭帯炎に対する治療をずっとしていてもなかなか改善しないケースもあります。
骨に異常なしでお皿の下が痛いと膝蓋靭帯炎と診断されがち
整形外科を受診し、レントゲン(X線)の画像診断をおこない、骨に異常がないと診断されお皿の下が部位が痛いというと「膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)」と診断されることが多いです。お皿の下の部位が痛くでジャンプの多い競技をしている場合はおそらく膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)である可能性が非常に高いでしょう。
しかし、中には膝蓋靭帯炎でない場合があります。膝蓋下脂肪体という組織に何らかの伏臥位がありお皿の下が痛むことがあります。
以前まで、膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)という組織はあまり膝痛の原因として注目されていませんでした。しかし、膝蓋下脂肪体には痛みを感じる受容器が多いことがわかり多くの膝痛の原因が膝蓋下脂肪体であると言われています。
膝蓋下脂肪体が原因の膝痛でも膝蓋靭帯炎と診断されてしまう大きな要因としては触診をしないということが大きな要因です。膝蓋靭帯炎と膝蓋下脂肪体では圧痛を感じる部位は違うため判断ができます。しかし、画像と問診だけでは「骨に異常がなく、お皿の下が痛い。ジャンプを多くする」という情報のみだと膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)と診断されてしまうことがあります。
膝蓋靭帯炎と膝蓋下脂肪体炎では圧痛部位が違う
膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)はお皿の下の膝蓋靭帯の部分に圧痛がでます。お皿の幅よりも外側が痛むことはありません。一方、膝蓋下脂肪体の場合はお皿の幅よりも広く圧痛がでることが多いです。膝蓋靭帯炎はピンポイントで圧痛が出現することが多いですが、膝蓋下脂肪体炎の場合は数か所圧痛がでることがあります。膝蓋靭帯炎の場合は膝を曲げて圧痛をとると硬い靭帯に触れることができます。その部位に圧痛が強ければ膝蓋靭帯炎である可能性が非常に高くなります。一方膝蓋下脂肪体炎の場合、膝を伸ばした状態で圧痛があり、その部位を抑えたまま膝を曲げて圧痛を確認すると圧痛がなくなったら膝蓋下脂肪体炎である可能性が非常に高いと言えます。
圧痛確認もご自分でおこなうのは難しいため、お皿の下が痛み、膝蓋靭帯炎と診断されたがなかなか改善しないという場合は膝蓋下脂肪体が原因の膝痛も視野にいれて専門の医療機関に相談したほうが良いかもしれません。