脊椎分離すべり症
好発年齢
15~70歳 若年者の原因は成長期における過度のスポーツによる脊椎の疲労骨折
基礎知識
脊椎(いわゆる背骨)は前方部分(椎体・上関節突起・横突起)と後方部分(棘突起、椎弓、下関節突起)に分けられますが、通常はすべて一つの骨であるのに、激しい運動や腰の前弯増強(そり腰)などにより、前方部分と後方部分との間に圧力が加わり、離断し骨の連結がなくなった状態を言います。(簡単にいうと脊椎の骨折)
また、分離が起こることにより椎体が前方へすべり出す場合をすべり症と言います。
※分離症による腰痛は、分離の発生時期により遅れるとの報告もあり、骨が分離した要素のみが痛みの原因ではなく、分離した部分の不安定性によって、分離部周囲の循環障害などが起こり、神経が刺激されて痛みが発症すると考えられています。
腰痛のない人のX線を撮ってみると、分離症がみられることがあるため、骨の分離による痛みではないとされています。
好発部位は第五腰椎、次いで第四腰椎、と腰椎下部で起きやすい。
症状
- 腰痛が主であるが、分離だけのばあいは腰痛が軽度もしくはない場合がある。
- 反射性に殿部(お尻)や大腿外側(太ももの外側)のけんいん痛がみられることがある。
- 分離すべり症の場合、すべりの度合いが強いと神経を圧迫し、坐骨神経痛等の症状がでることもある。
- 分離部局所の疼痛(運動痛)
- 脊椎(背骨)に階段変形(罹患椎骨よりも上位の椎骨の棘突起部がくぼんで段差ができる)がみられる。
→背骨を触ると、へっこんでいる感じがする部位とその下の背骨が後ろに出ているような感じがする。
診断
X線
分離症の診断には正側2方向のX線撮影だけでなく、両斜位撮影を行う必要があります。
整形外科テストーワンレックハイパーエクステンションテスト
触診ー脊椎の階段変形
整形外科での治療
小・中学生のスポーツをしている人にみられる場合はスポーツを中止させ、コルセットを装着すれば数が月で骨癒合が期待できます。
成人の分離症の骨癒合(骨がくっつく)は難しい。しかし、腹筋運動やコルセット、温熱療法を併用することにより、痛みの軽減ないし、消失させることができることもある。
治療に難渋する例では、ワイヤーリング法や後側固定術などがおこなわれる。
当院での治療
病院の治療ではなかなか改善しない分離症ですが、はり・マッサージ・整体をバランスよく施すことにより高い治療効果が望めます。
上記にも書いたとおり、X線で骨の離断がみられるのにもかかわらず、無症状の方が結構いらっしゃいます。骨の離断による痛みより、離断した部分の不安定性によって分離部周囲の循環障害により神経を刺激し痛みを起こしているので、分離部周囲の循環改善、腰部の筋緊張緩和を目的に治療をおこないます。
はり、マッサージ治療後、不安定になっている分離部を元の位置に戻す整体をおこないます。(バキッと鳴らすような整体ではありません。痛みを伴わないせいたいです。)
治療の実例
分離すべり症の治療
10代男性、部活動で野球をしている。高校二年ごろに腰痛を感じるようになり、バットのスイング時に痛みを起こすようになる。整形外科、接骨院に通うが痛みが治らず当院に治療を依頼。分離部周囲はかなりの筋硬結が認められたが、若いこともあり、治療一回で痛みが消失。腹筋の強化とストレッチのしどうをし、その後再発はなし。