梨状筋症候群の治療
(足のシビレ)
好発年齢
- どの年齢にもおこりうる。
- ランニングのように股関節の屈伸を繰り返すスポーツなどを行っている人に多くみられる。
基礎知識
殿部(お尻)の奥には梨状筋という筋肉があり、足の後面の知覚をつかさどる坐骨神経は梨状筋の一部を貫いたり、梨状筋の上を通ったりしています。
梨状筋の過緊張により、近くを走る坐骨神経が圧迫され、足にシビレや痛みを起こすことがあります。
また、ランニングなどの股関節の屈伸を何度も繰り返す動作により、梨状筋と坐骨神経が摩擦を繰り返して炎症を起こしたり、炎症により梨状筋と坐骨神経が癒着し、殿部から足の痛みやシビレなどの症状が出現します。
これを、梨状筋症候群と呼びます。
症状
- 下殿部(お尻の下)、大腿後面(太ももの裏)、下腿後面(ふくらはぎ)および全面(すね)、足背(足の甲)、足底部(足のうら)の疼痛、シビレ、知覚障害などを訴えます。
診断
X線ー筋肉の疾患であるため、画像診断はできない。
整形外科テスト
股関節の内旋テスト(梨状筋を伸長させての誘発テスト)
うつぶせで、足首を持って、膝を曲げさせてから下腿(膝から下)を外方に倒していき殿部、足の後面の痛みやシビレの増強や誘発の有無を調べる。
フライングテスト
あおむけで、膝と足首を持って股関節と膝関節を曲げさせてから、膝を内側に倒しながら足を外方に回した時(股関節の内旋、内転時)の殿部、足の後面の痛みやシビレの増強や誘発の有無を調べる。
下記の臨床所見がみられる
①腰部の疾患(ヘルニア、脊柱管狭窄症)による下肢痛ではないこと。
②腰椎の棘突起やその直側の著名な圧痛、叩打痛がないこと。
③梨状筋を圧迫すると下肢への放散痛がある
①②③の所見がみられる場合、梨状筋症候群の疑いが強い。
整形外科での治療
- 温熱療法
- ストレッチ
- 痛み、シビレのなかなかとれないものには局所麻酔薬によるブロック注射
当院での治療
梨状筋症候群に対しての治療は、はり治療が一番適しているといえます。 梨状筋は殿部の深部にある筋であるため、マッサージを行うには表面に大殿筋という大きな筋肉が覆っているため直接梨状筋に触れることはできません。はり治療でしたらそのまま梨状筋に刺鍼することができるので、梨状筋の緊張が緩和され、足の痛みやシビレの改善へとつながります。
※梨状筋症候群は坐骨神経痛を起こす疾患のなかでも、しっかりとした知識、技術をもって治療をおこなえば、高い治癒率が期待できる疾患です。しかし、長期に足のシビレ、痛みを感じていると、神経自体の増殖性変化により、梨状筋を緩めても、足の痛み、シビレが残ってしまう場合がありますので、症状のある方は、早めに治療を受けることをお薦めします。
治療の実例
梨状筋症候群の治療
40代女性
仕事はデスクワークで座っている時間が長い。長時間座っていると太ももの裏からふくらはぎにかけてシビレが走る。
当院で治療を開始。一回目の治療で、以前より長い間座れるようになった。以降週一ペースで四回治療をし、完治。その後、痛み、シビレの再発なし。
60代男性
本人の話では家庭菜園を一生懸命やりすぎて左足がシビレるようになった。問診や触診の結果、梨状筋部に硬結を確認。一回の治療でシビレが消失。本人も友人から坐骨神経痛は長くかかると言われていたので、一回の治療で治りビックリしていた。