腰部脊柱管狭窄症
好発年齢
40歳以上 最近、高齢者に多くみられる
基礎知識
腰部脊柱管狭窄症とは、首から腰までつながっている脊椎にある神経(脊髄)の通り道(脊柱管)が腰の部分で狭くなり、神経や血管を圧迫して、腰や足などに様々な症状を起こす疾患です。
脊柱管が狭くなる原因は骨の変形や靭帯の骨化などいくつかあり、生まれつきこうした要因を持っている人もいますが、多くの人は、加齢に伴い、少しずつ狭窄が進み、中高年になると症状が出始めます。
一般的に若いころに激しいスポーツや重労働で腰に負担をかけた人、車を長い時間運転する人などは要注意といわれています。
症状
- 腰の痛み、張り
- 片側または両側の足のシビレ、痛み
- 体を後ろにそらすと、足のシビレや痛みが増す。
- 体を丸めていると症状が楽になる。
- 膀胱直腸障害(尿や便が出ずらい)
- 間欠性は行(腰部脊柱管狭窄症では特徴的な症状)
少し歩くと足のシビレがひどくなり、座ってしばらく休むとまた歩けるようになる。
※間欠性は行は、腰部脊柱管狭窄症の他に閉塞性動脈硬化症でもみられる症状でこの鑑別が必要です。
診断
X線では詳細な狭窄がみられないため、CTやMRI検査を行い、これらの画像を診て、脊柱管に狭窄が起こっているかを確認する。
※画像診断で狭窄が起こっていても必ず症状がでるわけではありません。
整形外科での治療
手術療法または保存療法(手術はせず、他の方法で様子をみる)
- 薬物療法
- 神経ブロック注射(硬膜外ブロック・神経根ブロック・トリガーポイント注射)
- 理学療法(温熱療法・電気療法)
手術療法
尿や便の排泄障害(尿や便を出す神経も脊柱管を通るので神経への圧迫が強いと排尿障害を起こす)があるときなど症状が重い場合手術適応になります。
狭窄症の手術は、脊柱管を広げることで神経への圧迫を取り除きます。
当院での治療
骨や靭帯の変性自体は、はり治療やマッサージをしても治ることはありませんが、神経の圧迫部周辺の血流の流れを良くし、症状の進行を防ぐことができます。
また、画像診断で狭窄症がみられても、シビレなどの症状があらわれない方もいます。このことから、狭窄そのものがシビレや痛みの原因になるのではなく、狭窄がある人の場合、神経周辺に炎症が起きやすく、その炎症により、シビレや痛みを起こしていると考えられます。そのため、神経周辺の消炎、過敏になっている神経を沈静させることにより症状の改善を図ります。
※腰部脊柱管狭窄症でも即手術は行わず、保存療法で様子をみることが多いです。保存療法には、当院の治療を行うことで症状の緩和、改善が期待できます。
治療の実例
腰部脊柱管狭窄症の治療
60代女性
数週間前から、右の殿部~大腿部外側、下腿外側にシビレを感じるようになる。以前から腰痛持ち。病院でMRIを撮ると腰部脊柱管狭窄症によるシビレと診断。まだ手術する段階ではないと言われたのと、本人が手術は怖いので、当院に治療の依頼。
まだ、症状がとくに強いわけでもなかったので、治療後すぐにシビレはなくなった。治療を一カ月受けずに、庭作業など重労働をたくさんするとシビレがまた出てくるが、治療を受けるとシビレは消失する。現在は、症状の出方により、週一~二週に一回治療を行っている。病院から腰部脊柱管狭窄症と診断されてから三年、特に症状がひどくなることもなく、日常生活を問題なく過ごしている。
閉塞性動脈硬化症
好発
中高年以降、特に50歳以降の男性に多い
基礎知識
足の血管の動脈硬化により、足の筋肉への血流量が減少し、シビレを起こします。
血管の狭窄がひどい場合は、足の壊死を起こす場合もあり、緊急手術が必要になることもある。
閉塞性動脈硬化症の危険因子
・喫煙・高脂血症・高血圧・糖尿病 等の合併などがリスクファクターであり、生活習慣病の一つと考えられる。
症状
一度(もっとも軽度)・足が冷たくなる。)
二度・間欠性は行(少し歩くと足のシビレがひどくなり、座ってしばらく休むとまた歩けるようになる。)
三度・安静にしていても足に痛みがある。
四度・足の皮膚の潰瘍・糖尿病などの末梢神経障害がないかぎり、患者は激痛を訴える。
五度・足の壊死・切断の適応